037:壊れた時計
「すぐに帰ってくるよ。」と貴方は言った。
その言葉を疑いもせずに送り出した いつもと変わらない朝。

ねぇ あの時 引き止めていれば こんなことにはならずに
貴方は私の隣で今も笑っていたのかな?

この手に残るのは 貴方がいつも身に着けていた時計だけ。
あの日 時は止まったままで 秒針が時を刻むことは二度とない。

貴方の“時”はあの日からまったままで
私の“時”だけ無情にみ続ける。

ねぇ 誰か 私の“時”をめて。
あの人と同じように・・・。
2005.10.26
photo by  Honeymoon